2025/10/17 19:26
— 自然の中を「走る」ための準備と心構え —
「トレイルラン 始め方」や「トレイルラン 装備」で検索している方へ。
初めて山を走るときに知っておきたい基礎知識や注意点、必要なギアを紹介します。
自然の中を安全に楽しむために、uniteが大切にしている考え方も交えて解説します。
1. トレイルランとは?
まずは「トレイルラン」という言葉から。
トレイルランとは、舗装されていない山道(=トレイル)を走るスポーツです。
無秩序に山の中を走るわけではなく、きちんとした登山道=トレイルを走ります。
自然の地形をそのまま活かし、上りも下りもあるコースを自分のペースで走る。
それがトレイルランの魅力です。
同じトレイルでも、そこを使う人にはさまざまな目的があります。
ハイカー、マウンテンバイク、トレイルランナー、
野鳥や植物・キノコの観察を楽しむ人たち。
それぞれの立場や楽しみ方を理解し合うことが、
トレイルを“みんなで楽しむ”第一歩です。
2. まず揃えたい最低限のギア
山を走るためには、最低限の装備が必要です。
・トレイルランシューズ(グリップ力と安定性)
・バックパック(水分・補給・エマージェンシーキットを収納)
・ハイドレーション or ソフトフラスク(水分補給用)
・レインジャケット(天候急変への備え)
・キャップ(日除け・倒木などへの頭部保護)
・ライト(下山が遅れたときの安全確保)
これだけあれば、まずは近くの低山や里山を安全に楽しめます。
キャップは日除けとしてだけでなく、
トレイル上の倒木や枝に頭をぶつけたときの衝撃を和らげる役割もあります。
また、速乾性の高いランウェアを着用することで、
汗や雨で体を冷やさずに行動できるのも重要なポイントです。
レインジャケットやライトは最初から必ずしも必要ではありません。
ライトがない場合は午前中に走る、携帯がつながるエリアを選ぶなど、
工夫すれば安全は十分に確保できます。
また、天候が怪しいときは“走りに行かない”という選択も大切。
市街地と標高300mほどの低山では気象条件が大きく変わらないことも多いので、
アプリなどで事前に天気を確認する習慣をつけましょう。
3. 山を走るときの注意点
トレイルでは、**「自然の中にお邪魔している」**という意識が大切です。
・登山道のすれ違いでは歩行者優先。挨拶を交わすのもマナー。
・転倒・滑落・捻挫など、リスクを常に想定して行動する。
・地図アプリ(YAMAPなど)で位置を確認しながら行動する。
・行動時間に応じて、ジェル・ナッツ・塩分などを計画的に補給する。
・自分に合ったエマージェンシーキットを必ず持ち歩く。
トレイルでは「自分の安全は自分で守る」ことが基本です。
絆創膏、テーピング、保温シートなど、
自分のスキルとフィールドに合った緊急対応セットを用意しておきましょう。
最初は人の多い山を選び、
慣れないうちは誰かと一緒に走るのがおすすめです。
4. ロードランとの違い
トレイルランは、ロードとは**“体の使い方”も“考え方”も違います。**
・走り方:スピードよりリズム。上りは無理せず歩き、下りは重心を低くしてバランス重視。
・考え方:一定のペースで走るのではなく、“動き続ける”ことを意識。
・シューズ:グリップ力と安定性を優先。滑りやすい路面でも安心感がある。
グリップばかり注目されがちですが、アッパーのホールド感もとても重要です。
足がシューズの中で動かないよう、ロードシューズよりも固く作られています。
足とシューズが一体になるよう、しっかり紐を締めましょう。
ロードは固い路面で反発力を使って走れますが、
トレイルは土や落ち葉、岩など柔らかく不安定。
路面からの反発はほとんど得られません。
特に初心者のうちは、クッションが強すぎるシューズでは安定感を失いやすく、
厚底ロードシューズに慣れている人は「自分の足で走る感覚」に戸惑うかもしれません。
地面の柔らかさを受け止めながら、足の裏で路面を感じること。
それがトレイルランの基本です。
5. トレイルラン特有の楽しさ
トレイルランの魅力は、数字では測れない部分にあります。
森の匂い、風の音、木漏れ日。
五感が研ぎ澄まされていく感覚。
意識を集中して走る時間は、まるで瞑想のようです。
気づけば何時間も経っていることもあります。
最初は足の置き方や木の根を避けるのが難しいかもしれません。
スピードよりも、安全に着地できる路面を選ぶことを意識してみてください。
トレイルランの走り方は自由です。
歩幅が10cmのときもあれば、1メートル飛ぶこともある。
横にステップしたり、木の根を飛び越えたり。
テクニカルな路面に体を合わせて走る感覚は、
まるでゲームのように感じられることもあります。
上級者の走りはまるで踊るように滑らか。
慣れてくると、自分の体をトレイルのリズムに合わせながら、
流れるように走る感覚を味わえます。
その一体感こそが、トレイルランの醍醐味です。
6. 長い距離を走るようになる思考
最初は3kmでも十分です。
距離を伸ばすより、「自分のペースで山を楽しむ」ことを優先しましょう。
トレイルランは、自然の中に身を置く心地よさが魅力。
だからこそ「もう少し長く走りたい」と思う人が多いのかもしれません。
ロードよりも柔らかい路面は足への負担が少なく、
慣れてくると長い時間を走り続けられるようになります。
ただし、下りでは膝に負担をかけないよう注意が必要。
慣れるためには、できるだけ路面を意識して走ること。
地面と接する足の裏で“路面を感じ取る”意識が大切です。
7. トレイルランのレースとは
レースは「競う」だけの場ではありません。
習い事の発表会のように、それがあるから頑張れる。
普段走れない土地を走れるのも魅力です。
距離も形式もさまざま。
5kmのショートから100マイル(160km)を超えるウルトラまで。
自分のレベルに合ったイベントから始めてみましょう。
山によって環境も変わり、距離と標高差で難易度も異なります。
景色を楽しむ旅のようなレースもあれば、挑戦を重ねるレースもあります。
大会で出会う人たちとのつながりも魅力のひとつ。
SNSで見かけるランナーに実際に会えるのもトレイルの面白さです。
慣れてきたら、ぜひ一度レースに出てみてください。
きっと新しい発見があります。
8. 仲間と走ることの意味
トレイルランの魅力のひとつが、「仲間とのつながり」です。
話しながら走れるくらいの心拍数で、無理せず安全に。
動きながらの会話は、不思議とポジティブになります。
走るというのは本来、一人でする行為。
それでも続けるためには、仲間の存在が不可欠です。
山に行くには移動も必要で、時間も長くなります。
走り終わったら温泉に入って、食事して帰る。
そんな“体験全体”を共有できるのが仲間と走る魅力です。
仲間と遠征したり、レースに出たり。
そうしてできたつながりは、時に一生の友人になります。
一人で走る気軽さもいいけれど、
仲間と走る時間には、それとは違う豊かさがあります。
9. 安全に楽しむために
天候、ルート、装備、体調。
すべてに気を配りながら、安全に楽しむことが最優先です。
そしてもうひとつ大切なのは、
「自分に合ったトレイル」「その日の天候に合った装備」を考えること。
無理をしない。これが大前提です。
僕自身、長い間一人で走ってきて、
転倒・道迷い・熱中症・ハンガーノック・急な雨…
いろんな失敗を経験しました。
だからこそ今は無茶をせず、大きな事故もありません。
今は情報がたくさんあります。
経験者の発信や、グループランなどに参加して学ぶことができます。
uniteでも、初心者向けのランやイベントを通じて
安全に楽しむための知識を共有しています。
10. まとめ|トレイルランを通して広がる世界
トレイルランは、ただ山を走るだけのスポーツではありません。
山で出会った人との会話や、整備の現場を見たことで、
「自分たちが走っている道は人の手によって守られている」ことに気づきました。
自然と向き合い、仲間と笑い、五感で時間を感じる体験。
その中で、街では得られない気づきがたくさんあります。
“速く走る”よりも、“長く楽しむ”。
それが僕が思うトレイルランの本当の魅力です。
uniteというお店を作ったのも、その延長にあります。
トレイルランを通じて人と出会い、自然と関わり、地域に還元していく。
山の保全活動や清掃、イベントなど、
その積み重ねが街と山をつなげていくと信じています。
トレイルランは、スポーツを超えて、
“人と自然と地域をつなぐきっかけ”になる。
これからもuniteは、走ることを通じて、
そんなつながりを広げていきたいと思います。
最後に。
細かく伝えたいことはまだまだありますが、
まずは今回がその“入り口”のような内容です。
今後は各カテゴリーごとに、さらに深掘りしてまとめていけたらと思っています。
僕自身、決して速くも強くもないランナーです。
運動とは無縁だった20代を経て、30歳から走り始めました。
いろんな立場の人が、いろんな考えでトレイルランを楽しんでいると思います。
このブログを読んで、少しでも共感していただき、
「トレイルランを始めたい」「続けたい」と思ってもらえたら嬉しいです。
unite 田所
トレイルランをこれから始めたい方へ
uniteでは初心者向けのグループランや講習会も開催しています。
まずは一緒に走って、自然の中で体を動かす楽しさを感じてみてください。
👉 詳しくは プロフィール・リンク から